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【感想】アニメ『「A.I.C.O. Incarnation」 第1話』遠くに行くだけが旅ではない

A.I.C.O Incarnation

「ネットフリックス」オリジナルアニメ『「A.I.C.O. Incarnation」第1話「接触」』の感想です。
本編の内容に踏み込んだ文章を書いています。ぜひ先に『「A.I.C.O. Incarnation」第一話「接触」』を鑑賞してください。その上で再び、ブログを見に戻ってきていただいたら非常に嬉しいです。

この物語の主人公アイコは、昔住んでいた場所を見に行きます。

昔、住んでいた場所を見に行ったことはありますか? その時、どんなことを思いましたか?

わたしは家族とともに18歳の夏に引っ越しました。それまで、東京に住んでいました。
23歳の時から、再び東京に住み始めています(一人暮らしを始めました)。といっても、昔住んでいた土地とは違います。
何年か前に、昔住んでいた土地を見に行ったことがあります。
「随分変わってしまったな」という感想を持ちました。この土地に住んでいた頃よく遊んだ、もう久しく会っていない友人のことを思い出しました。家族のことは、ほとんど思いませんでした。月一で実家に帰っていましたからね。

原因不明の事故、バーストから2年。家族を亡くしたアイコは再び歩けるように。ところがある日やってきた転校生により、平穏な日常が崩されてしまう。

ネットフリックスの作品エピソードから、『「A.I.C.O. Incarnation」 第1話「接触」』のあらすじを引用しました。

アイコは家族がいなくなった家を見に行くのです。
現在はアイコは病院に住んでいます。劇中に説明はありませんが、家は病院とほぼ同じ土地で、自動車での移動なら30分~1時間くらいのようです(正確にはわかりませんが)。
たいした距離ではありませんね。「旅行」とか「旅」とか言ったら少し大げさな気もします。

しかし、求めてその場所に行って、そして帰った時、行動をした人の中で何か変化があるとしたら、たとえそこに大きな距離がなかったとしても、わたしはそれを「旅」と呼んでいいと思います。

全話通してのあらすじ

2035年、近未来の日本。
「人工生体」の研究中に起きた大事故“バースト”により、
暴走した人工生命体“マター”が黒部峡谷一帯を侵蝕。
人類にとって希望の地と謳われた研究都市は、政府により立ち入りが禁じられた。

それから、2年後――。
バーストで家族を失った15歳の橘アイコは、
転校生の神崎雄哉から信じがたい事実を告げられる。

それはアイコも知らなかった、自身の身体に隠された“秘密”だった。
それを解く鍵は、バーストの中心地“プライマリーポイント”にあるという。

アイコは、案内人の神崎雄哉と護衛部隊のダイバーたちと共に、
封鎖されたエリアへの侵入を決意するが。

人類の未来を背負う少年、少女が出会った時、明らかになる真実とは?

「A.I.C.O. Incarnation」公式サイトから引用

つらい過去との対峙は、小さな冒険

アイコは家に行くことを躊躇していました。
家に行くことによって、「家族がまだ行きているかも」というわずかな望みが断たれるのを恐れていました。

「心の中では、お父さんや、お母さん、弟が死んだって信じられてないんだ」アイコの劇中の台詞です。
1話では、どういう状況でアイコが病院に運ばれたのか描写がないので、なんとも言えませんが、アイコは家族の死を直接には見てないのかもしれません(父親の死は直接見ている可能性はあります。「原因不明の事故、バースト」とどういう関係があるのかわかりませんが、自動車に同乗していた父がアイコを事故から守る描写があります)。
だからこそ、家を見るまで、心の中の一部は「まだ家族が生きている」と思っていたのではないでしょうか(この先の物語を見たら、的外れの感想になるかもしれませんが)。

だけれども「わずかな望み」などないことは事実として知っていたはずです。だからそれは、自分が家族の死と向きあうこと、現実を受け入れることを恐れていたということでしょう。
しかしアイコは現実と向き合う決心をします。
学校(病院内に学校がある。高校生なのかな?)の屋上で、アイコが友人に家に行くかもしれないことを話している時、転校生である神崎雄哉から言葉をかけられます。
その言葉がアイコの決心の後押しました。

「絶対に行かなければいけない」とアイコは思っていたはずです。だから、神崎の言葉がなくても住んでいた家に行ったと思います。だけれど、その言葉はアイコが現実を受け入れる時の準備をさせてくれたはずです。
神崎もまた、家族を失ってました(おそらく「バースト」ってやつで)。その事実も、アイコに「ひとりではない」という想いを与えたと思います。

亡き人を思う心は千差万別。必ずしも現実を受け入れる必要はないと思います。
しかし、現実を受け入れないということは、心の一部の時を止めるということになります。まだ長い未来が待っているであろう人にとって、受け入れていない現実と付き合って行くのは、苦しみしかありません。その苦しみから逃れるための現実逃避が心だけでなく体も蝕むでしょう。そうだとしても、現実と向き合えばまた大きな衝撃が心に亀裂を与えるかもしれません。それは恐怖です。神崎の言葉はアイコのために言ったわけではないかもしれませんが、それはその衝撃からの暴挙壁を与えたのだと思います。

アイコが昔住んでいた家の中は、住んでいた当時とほぼ変わらないようです。部屋をあけたら、ひょっこりと家族がいそうです。居間に行けば、父、母、弟が待っていそうです。

父の部屋に入り、家族の写真を見て、アイコは泣きます。
揺れる感情が、心に亀裂をあたえるだろう衝撃をやわらげているのかもしれません。

アイコは家族の死を受け入れたのでしょうか?
物語は、周囲を監視されていることに気づいた神崎(監視対象は神崎ぽかった)が、父の部屋で泣いていたアイコを連れて逃げます。病院には戻りません。さらに、神崎に連れて行かれた場所で、アイコはショックを受けるような真実を知ります。

それが、今後どう影響して行くのか、「ショックを受けるような真実」を受け入れないために、「家族の死」もまたやはり受け入れなくなるかもしれません。

なので、アイコが家族の死を受け入れているのかどうかは、物語のこの時点ではまだわかりません。しかし、真実と向き合うという「小さな冒険」を経て、アイコの中で何かが変わったことは確実だと思います。

求めて行って。そして、帰ったとき見ている世界は変わっていた

1話の最後で、「家族の死を受け入れる」ということを吹き飛ばすような真実をアイコは知ります。「自分は他の人と違うと知る」のです。

「家族の死を受け入れる」。「自分は他の人と違うと知る」。アイコは「見ている世界を変化させる」ような出来事をたてづづけに経験します。

「自分は他の人と違うと知る」ことが、「旅」かと言われると「違うかな」とわたしは思います。なぜなら、それはアイコが求めて得ようとしたものではないからです。求めていないということは、自分から動いていませんから、「旅」とはいえないでしょう。

「家族の死を受け入れる」ことは、アイコが自分から求めておこなった行動です。自分から動いているから「旅」かなと思います。

自分から、変化があるだろう場所に求めて行動したなら、それはたとえどんなに距離が短い場所への移動だとしても「旅」なのだと、わたしは思います。

フィクションは登場人物たちに冒険をさせます。その冒険はアニメにおいては、実写のドラマより壮大なものになることが多いです。これは壮大なことを描くのが実写よりもお金がかからないからなのかもしれませんし、絵で表現するアニメという媒体においては、派手な動きが期待できない「小さな冒険」でのドラマの演出が難しいからなのかもしれません。わたしはあまり見ないのですが、「日常」ものというジャンルもありますから、必ずしも無理というわけではないと思いますが。

最近は仕事が忙しく全然読めていませんが、柴崎友香さんの小説が好きです。日常の些細なことを描いている作品なのですが(全作読んでませんが、少なくともわたしが読んだものは)、大変楽しく読んだ記憶があります。こういう作品はアニメとして作ったとき、「面白く作れるのかな」とは思います。

「求めて行って。そして、帰ったとき見ている世界は変わっていた」だけで、物語は成立します。裏にある壮大な設定を語らず、「家族の死を受け入れる」というだけの物語も面白いかもしれません。
まあ、それは怪物を出さなくてもできるわけですから、壮大な設定を作ったなら、怪物を出す意味も考えなくてはいけないですけどね。あと、十数話は難しいかな。

「小さな冒険」で終わるはずだった旅は、神崎との逃亡により「大きな冒険」になりそうです。その「大きな冒険」もまたアイコを変えていくでしょうから、「家族との死と向きあった」ことによる直接の変化は、今後も描かれないかもしれません。

だけれども、もし「家族との死と向きあった」という事実を、アイコが考える場面を入れる物語上の余裕があったなら、アイコに何らかの変化が見られるだろう描写があったと思います。「旅」がアイコが「見ている世界をほんのちょっとだけ変えた」という描写を。

物語は冒頭、「AKIRA」というコミックの登場人物「鉄男」のラストあたり描写のような怪物と、強化スーツをきた人間が戦っている場面から始まります。
それが「原因不明の事故、バースト」とつながり、アイコ自身の謎にも繋がっていくのでしょう。アイコの謎を提示して1話は終わります。引きがうまい。
続きが楽しみです!

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