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【感想】海外ドラマ『ブラック・ミラー シーズン2-1「ずっと側にいて」』「あなた」は「あなた」だけしかいない。現在はまだ

ブラックミラー シーズン2

あなたはこの世界に、「別の自分がいるかもしれない」と考えたことはありますか?
姿が似ているとか、性格が似ているだけでなく、姿も性格も年齢も過去の経験も同じ人のことです。
そんな人はいませんよね。

「あなた」は「あなた」だけしかいないのです。

そしてあなたを愛する人は、「姿も性格も年齢も過去の経験」も含めたあなたを愛しているのだと思います。そのどれかが欠けても「あなた」は「あなた」ではなく、そして愛する人にとっての「あなた」でもないのです。
「あなた」と「あなた」を愛する人の恋愛関係が終わって、「あなた」を愛する人が別の誰かと付き合ったとしてもそれは「あなた」の代わりに付き合っているわけでなく、その時かつて「あなた」を愛した人は新しい恋人を愛しているのです。

「寂しさを紛らわせる」「肉体関係を持ちたい」などの「感情の不足」や、「欲求」を満たすことを求めて、それほど愛を感じなくても付き合ったりする人もいるでしょう。しかしそれは「感情の不足」や「欲求」を満たすという行為の対象をあなたの代わりに求めているのです。決してあなた自体の代わりを求めているのではありません。

「恋人を事故で失ったマーサは友人に死人と通信できるソフトをすすめられる。不謹慎だと思いつつ、失くした恋人と疑似体験できるソフトにはまっていく。」

ネットフリックス作品エピソードから、『ブラック・ミラー シーズン2-1「ずっと側にいて」』のあらすじを引用しました。

この物語の主人公マーサは失った恋人アッシュ(あらすじ見ると恋人同士とあるから、夫ではないようだ)をクラウド上にある情報に求めます。
そして、さらに実際の存在としても。それはかつてのアッシュの姿とほぼ同じです。性格や過去はsns上にUPされた情報でかたちづくられています。
そのような存在はマーサにとってかつての恋人の代わりとなり得るのでしょうか?

「あなた」は「あなた」以外にもいるのでしょうか。

本編の内容に踏み込んだ文章を書いています。ぜひ先に『ブラック・ミラー』シーズン2-1「ずっと側にいて」を鑑賞してください。その上で再び、ブログを見に戻ってきていただいたら非常に嬉しいです。

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目次

『ブラック・ミラー シーズン2-1「ずっと側にいて」』
あなた以外にあなたはいない。現在はまだ

ブログのタイトルはわたしが物語のテーマと考えるものです。
なぜそういう風に考えるかに至ったかを3項目にわけ、物語の展開から解説しています。
最後にこの物語から考えたことをまとめています。

データから作られた存在はやはり別人である

公開された情報から作られた存在

マーサは恋人を失います(アッシュからの連絡がないことを待つ場面は長く見せるけど、失ってからお葬式の場面までが短いカットで描いていてすごいと思った)。
お葬式の席で、同じように恋人を失ったらしい女性の知人から「亡き人からメッセージが送られてくるサービス」を勧められますが、マーサは感情的にその勧めを拒絶します。
少し時が経って、お葬式の席でマーサに「亡き人からメッセージが送られてくるサービス」を勧めた知人に勝手にそのサービスに登録されます。
最初は無視をするのですが、自分の妊娠が発覚し、誰にも相談できない状況の中(姉に連絡するも、連絡がつかなかった)で、サービスにログインします。

最初はチャットだけ、そしてすぐに電話でも話すのですが、マーサはすごく楽しそうに会話を楽しんでいるように描写されます。
会話はsns(facebookやtwitterと劇中でも語られる。物語の冒頭アッシュはずっとsnsをしている存在として描かれる)にUPされた情報を元に構成しているようです(技術的に詳しいことは語りません。劇中に出てくる、PCやスマホはすごく薄く、今現在よりは遠くはない未来のようです)。
若干の危うさはありますが、恋人を失った寂しさが紛れるなら「こういうサービスもいいのではなかろうか」と思いました。
今現在であっても写真や動画で過去の記録は残っていて、それを見て寂しさを紛らわせている人はいるでしょう。その延長上で考えれば、ほぼ同じことだと思います。昔の人はきっと、日記などの文章を見て亡き人を思っていたのではないでしょうか(絵もあるかな)。それが写真、動画と技術の進歩によって代わり、そしてAIのようなものに置き換わっただけのこととも思えます。亡くなる前アッシュが、自分の母は「亡くなった人の写真をすぐ片付ける」ということを語っているのですが、この発言は物語に対応していたんですね。
ただ、人間がそれ(AIとの会話)を「存在がもうないもの」として割り切れるかどうかは別問題で、「若干の危うさ」のはそこに感じるのです。
人は忘れられるからこそ、前に進もうという意思がもてるのだと考えます。技術の発展は忘れることを阻害します。写真や動画ならまだ、時が経てば自分と距離が遠いものとしてとらえられるかもしれませんが、実際に話す声が、たとえ決められたパターンがあるものであっても、まるで生きているように聞こえてきたら、その人がもういない(頭の中ではわかっているはずですが)と考えるのは難しいような気がします。会話のパターンがなくなったら、「もういない」と考えるのかもしれませんが……。

マーサが住んでいる場所は、アッシュの故郷のようです。マーサは電話でアッシュ(クラウド上の存在)と話しながら散歩します。かつて本当のアッシュときた場所に。
そして、マーサはお腹の中にいる子供の心音を、電話でアッシュ(クラウド上の存在)に聞かせます。
スマホを落とした時は、まるで再び恋人を失ったかのように狼狽します。

マーサにとって、電話の先のアッシュは実際に実在しているようです。

聴覚以外も刺激された時、違和感があらわれた

マーサはもっとアッシュと近くにいたいと思います。アッシュから「ベータ版で料金も高い」けどと前置があって、もっと近くに居られるサービスを勧められます。

そのサービスは実際にアッシュがやってくるというものでした。
送られてきた、身体(これがアッシュになるのです)を風呂に入れ、薬のようなものを入れ一晩(くらいだったかな?)待ちます。「妙に手続きがちゃんとあるな〜」と思いながら見てました。技術的な説明がないから、余計に手続きをきちんと行う必要があるのかもしれません。
アッシュ登場まではホラーのような描写です。

きちんと形作られたアッシュに最初は戸惑いながらも、だんだんとその存在を認めようと努力するマーサ。
努力すると書いたのは、どこかしら常(物語中ずっと)に戸惑っていいるように描写されていたからです(わたしがそういう色眼鏡で見ていただけかもしれませんが)。
頑張って好きになろうとしたのでしょうか、肉体関係を結びます。しかし、戸惑いは消えず、時間経過とともにさらにその感情は増幅されます。

電話で話している時は、アッシュがメタ的な発言をしてもマーサはたいして気にしていなかったようだけれども、実際に近くにいて話されると気になるようです(ここら辺の感情の描き方はうまいなあと思う。実際はどんな感情持つかわからないけど)。

どんなに似せていても人間じゃありません。眠る必要(ベッドでずっと目を開けている)はないし、血も出ない。性格もsnsにあげた情報や、マーサから聞いた情報などから推測されて作れています。それらになかった情報は反映されません。

耳だけで聞いていた時は許容できた違和感が、五感を刺激するものになると許容できなくなり、嫌悪すら生まれてくる。
なんとなく分かるような気がします。全くの別人なら求めないようなことが、なまじ似ているだけに求めてしまう。しかしそれは叶えられない。返ってくるはずと期待する反応が返ってこない苛立ちですね。
電話だけの時はまだそれはただの「情報の集積」として、写真や動画と同じようにある程度の距離を置いて考えられたのかもしれません(電話を落とした時は「壊してしまった」とまるでアッシュを傷つけたかのように泣いていましたが)。だからメタ的な発言も許せたのかもしれません。一生懸命、自分を勇気付けようとしている健気な存在として。
しかし、肉体を持った存在として目の前に現れたとしたら、それはもう距離を置いて見られなかったのでしょう。

実際、未来において同じようなサービスがあったとして、マーサのような感情を持つかはわかりません。ありえない(現在時点では)状況を作り出して、人間のまだ見ぬ感情を描いてみせる。この点はまさにSFだなと感じます。

思い出が思い出にならないのは恐怖かもしれない

作られたアッシュは、夜マーサに「家から出て行って」と言われます(勝手に人間じゃないものを外に出すなよ、と見ながら思いました)。
マーサが起きて、外を見るとアッシュは家の門の前に立ち尽くしていました。アッシュはマーサから25m以上(もしくは生成された風呂場から)離れられないようです。

それは、一生マーサから、作られた偽物のアッシュがいなくならないということを意味します。

以前、クラウド上のアッシュと電話しながらきた場所にきます。そこは散歩の場面で自殺の名所という話もしていました。
マーサはアッシュを殺そうとしていると察せられます。自分で殺せないとしたら、死んでもらうしかないのです。

ここら辺の描写は、マーサというか作品として混乱しています。
マーサの感情の発露はこの作品を表しています(「中身がない」とかそんな発言)。
マーサはアッシュに崖から飛び降りてというのですが、「彼なら怖がったはず。飛び降りない」とも言います。
人の感情は千差万別ですが、なんとなく、このような状況に陥ったとき人間がどう思うかを制作者もとらえきれていないように感じました。
しかし、それはわたしがまだ知らない、他の物語でも学習していない感情の発露であったため、わたしがそれにリアリティを感じられなかっただけなのかもしれません。

現在はまだ人間の全ての情報を取ることはできない。人間のコピーなど作れない

日々、snsにUPされる情報はあなたの一部ではあります。そのデータから人間のコピーを作ろとしているのがこの物語です。

しかし、それはその人の一部でしかありません。劇中でも、アッシュも下ネタをsnsにUPしていなかったようです。
下ネタこそが人間の本質を映しているなどと思っているわけではありません。人間の性格には影響はしているが、人前では見せない秘めたものがどんな人にもあるのではなかろうか、とわたしは考えます。

劇中の現実の世界から遠くない未来の技術では、人間の全ての情報を汲み取ることはできず、コピーは作れませんでした。
しかし、声でだけなら、かつて愛していた人の癒しになるくらいのものは作れたということも示しています。いつかは劇中で語られる存在より、より真に迫った人間をsns上にUPされた情報から作れるのかもしれません。

人間の秘めた、人前に出さなない情報はsnsにはありませんでした。たとえtwitterのような匿名であっても、人とのやり取りを考えたとき、自分を全て出すことをある程度抑制してしまうからかもしれません(抑制が効かない人もいるかもしれませんが)。実際よりよく見せたいという心もあるでしょう。
snsにはありませんが、誰しも一度はコンピュータに秘めた欲望を満たす方法を聞いたことがあるのではないでしょうか?
検索という方法で。
そして、何を買っているかという、購買データからも秘めた欲望は探れるかもしれません。

個人が特定できるほど、細かく検索データを採集しているとは思いませんし、現実問題として各社が集めているデータを統合するとも思いません。

しかし、もしかしたら近い将来、もっと人間がネット環境に依存し自らの情報をネットワークにUPすることによって、生活が豊かに便利になる世界が来たとしたら(たとえば自分のDNA情報を送ることで、自宅で医療行為ができたりしたら)、そして各々の会社がもつ情報を仮に統合できたとしたら、自分自身のコピーをネット上にある情報から作れてしまう未来がくるかもしれませんね。

アッシュはマーサには愛されませんでしたが、愛してくれるものもいました。過剰な理想を求めなければ、たとえ作られた存在でも愛されないということはないようです。
情報から作られたアッシュが理想に答えられたら、その存在をマーサは愛したでしょうか。人間でないとわかっていたとしても。

「あなた」は「あなた」以外にもいる。

そんな未来がくるかもしれません。

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