【感想】映画『リメンバー・ミー』この旅は大切なことに気づかせた
見てきた映画はディズニー・ピクサーの『リメンバー・ミー』。
ディズニー・ピクサーの映画を見て、いつも思うのですが脚本が「完璧」ですね。
素晴らしい。
「死者の国」に行って戻ってくる。神話などならよくある物語ですが、現代の人が見ても古臭く感じさせないセンスがすごい。
絵も素晴らしかった。鮮やかな色彩が眼を喜ばせます。
日本語で「リメンバー・ミー」と書かれているところがあって(上映する国の言葉にしているんでしょうね)、その文字だけ「もっといいフォントあったんじゃないかな」とは思いました……。
テーマとなっている歌もよかったよ。
わたしは、けっこう簡単に泣くのですが、今回は後半30分くらいずっと泣いてましたよ。隣の人の嗚咽も聞こえたから、多分泣いていた。
『リメンバー・ミー』物語作りに役立つところ
主人公、ミゲルが旅をしなければいけない理由づけがうまい。
障害があって、その障害をどうにかするために物語の人物は動く(動かざる得ない)わけです。
ミゲルは音楽が好きで、ミュージシャンになりたいと思っています。しかし、家族は、特にミゲルの祖母はそれを許しません。
祖母エレナのそのまた祖母イメルダが、ミュージシャンである夫が家族を捨てて音楽をとったという、歴史があり、イメルダはそれ以来家族が音楽に触れるのを中止し、エレナもそれを受け継いでいます。
ミゲルはそれをなんとかしたいという思いがあり、死者の日(メキシコのお盆みたいなものかな)にあるステージに立ちたいと思います。
でも、家族は反対。
家族の反対を押し切って、ステージに出ようとするのですが、その経過で死者の国に行ってしまう。
この物語はメキシコの出来事なのですが、「死者の国」というのはメキシコの伝統を物語にうまく使っています。このビジュアルイメージも圧倒的ですね。
「死者に国」に行くというのが、構造的に「行きて帰りし物語」になっています。
伏線のつけ方がうまかったですね。
最後に潜入しないといけない場所があるわけですが、そこに入る伏線を先に貼ってあるんですね。
ご都合主義でなくて、良いですね。
最後の偶然の危機を使って、イメルダに音楽好きと気づかせる展開もうまい。
ミゲルは死者の国から、元の世界に戻るために家族の許しが必要なのですが、音楽を許してくれないイメルダでなく、許してくれるであろうイメルダと別れた夫を探しに行きます。
うまいですね。イメルダに許されたら、それで終わっちゃいますしね。
途中で出会った、ヘクター(昔、音楽活動をしていたが、あまり今は好きでないらしい)というガイコツと死者の国を旅します。
ヘクターはミゲルのひいひいじいさんと知り合い、という情報を偶然手に入れます。ここらへんは御都合主義的と言えば、そうかもしれませんね。
そこで、死者の国にあるルールの描写があります。「死者の日」に「生者」の国に行くには、祭壇に写真を祀ってもらわないといけない。ヘクターはそれをミゲルに行ってもらうために、ミゲルを手伝います。
これも、物語を盛り上げますね。
後半の展開も素晴らしいですね。
ミゲルは目的を達そうとするのですが、達そうとすると違う問題がでてきます。そして感動のラストへの行くのです。このはぐらし方もうまい。
ラストはミゲルだけでなく、家族にも本当に大切なものは何かを気づかせます。
本当、脚本が素晴らしい。素晴らしい。すごく、素晴らしい。
『リメンバー・ミー』あらすじ
ミュージシャンを目指すミゲルだったが、家族は代々音楽を禁じる靴屋の家系。どうにか、先祖の魂を迎えるお祭り「死者の日」で行われるステージ立とうとすが、ミゲルは「死者の国」に迷い込んでしまう。元の世界に戻るために、死者の国で出会ったヘクターとなぜか一緒についてきた犬ダンテともに、死者の国を旅する。
『リメンバー・ミー』まとめ:物語の構造
まさに「行きて帰りし物語」。シナリオとしては、オーソドックです。
しかし、それを現代にアレンジした、料理の仕方がものすごくうまいです。
主人公ミゲルは欲しいものがある、と同時に「死者の国」から出るという目的がある。
「死者の国」から出ることが目的となるのですが、それが同時に主人公が欲しいものを得ることにも繋がって行きます。
達成されるのは、ミゲルの目的だけでなく、家族たち(特にイメルダ)、ヘクターも目的が達成されます。
良い物語は、何重もの解決を描いてくれますね。
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